元来保存食として利用されていた漬物は、野菜の持つ栄養素に、発酵で生まれる乳酸菌や酵母がプラスされた機能性豊かな食品です。塩漬け・床漬・粕漬け・梅干しなど・・・・。日本人が古来から食してきた健康食品の優れた面をみてみましょう。
安くて栄養のある旬の野菜を、漬けることによって生ずる旨みと機能性を利用したのがつけものです。つけものは健康面で次のような優れた点があります。
・特有の香味、色などが食欲を増す
・ビタミン類の供給源となる。
・繊維質が多く、腸の蠕動作用を促進し、便通をよくする。
・カルシュウム・カリウム・鉄などの無機塩類を豊富に含む。
・乳酸菌の働きによる整腸作用が有る。
つけものは発酵食品です。野菜が漬かると乳酸菌を生み、発酵を進めます。つけものが古くなるとすっぱくなるのはこの乳酸菌の為なのです。乳酸菌や酵母菌の働きで独特の風味を生み、一方で有毒な雑菌の繁殖を防ぐなど、健康の助けとなる働きも有ります。
発酵食品というとヨーグルトやナチュラルチーズなどを思い浮かべると思いますが、なかなかこれらの食品を口にする事の少ないお年寄りの方でも、整腸作用に必要な乳酸菌をつけものから供給する事が出来ます。
昔から食されてきたつけものは、日本の食文化が育んできた”健康食品”といえるでしょう。
米国ではdietary supplementは3兆円ビジネスだと言われています。彼らは日本を格好のターゲットと考えていますが、薬事法などが輸入障壁となっていました。
米国の圧力もあってか、政府の規制緩和推進計画、市場開放苦情処理推進会の方針に従って、今年の3月厚生省の諮問機関「いわゆる栄養補助食品の取り扱いに関する検討会」は、新たに栄養補助食品というカテゴリーを設け、これに栄養機能や保険用途等の表示を認めるよう提言しました。
ところが報告書では、栄養補助食品について「QOLの向上、健康の維持増進としての意義、目的について、積極的に評価すべきである。」と書かれているにもかかわらず、「疾病リスク低減表示については、・・・本検討会で結論を得るには時期尚早」とされています。
しかも現段階では、いわゆるハーブ類などの栄養成分機能表示でさえ、科学的根拠が不十分であるとして当分認められそうにはないようです。しばらくは、イチョウ葉エキスのラベルにはたんぱく質?グラムなどという、意味のない表示がされることとになりそうです。
私たち消費者が、栄養補助食品に求めているもののひとつは、疾患リスクの低減、つまり病気の予防だと言えるでしょう。このことは、すでにテレビ、雑誌をはじめとしたマスメディアにより数々の栄養補助食品の効能がさかんに喧伝されていることから容易に推測されます。いまさら栄養補助食品の表示に頼らなくても、マスメディアが自分にはどんな栄養補助食品がよいのかを教えてくれます。
このままでは、栄養補助食品に表示された内容とマスメディアからの情報とのギャップは余計な混乱を招きかねないようです。イチョウ葉エキスと表示されていても、製品により全く成分が違うこともあり得ます。効能を表示する必要がなければ、それを裏付ける成分を保証する必要もありません。
マスメディアでえられた情報は、目の前にある栄養補助食品を選択する上ではまるで役に立ちません。ランダム化比較試験で効果が保証されるものに限り、それに見合った成分を保証する方がよほど消費者にメリットがあります。
米国のdietary supplement産業は毎年2桁の成長を遂げているといいます。2年前米国市場に出回っていたハーブは150種類でしたが、やがて500種類に、数年内に1800種類くらいにまでなるだろうと予測する人もいるようです。
しかしこれらハーブの規格が統一されていないこと、副作用の報告義務がないことなどの問題を抱えしまういます。
日本が栄養補助食品への対応をひとたび誤れば、米国でのdietary supplementにかかわる問題点をも輸入することになりかねません。米国のdietary supplement産業に日本が飲み込まれてしまう前に、いっそう踏み込んだ規制を設けるべきでしょう。
Last update:2023/2/27